寺院発のニューウェーブキャラクター!?
●kongdra(空・ドラ)
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特定のモノに触れたときに心を動かされ、愛情を超えた”想い”を募らせ、その言葉には言い表せないような感覚を覚えるような精神状態を表す語として'90年代後半前後から使われ始めたという「萌え」は、主に美少女のキャラクターの容姿でシンボライズされる場合が多い。健康的で優しさの感じられる少女のイメージを連想させることから、草木が芽吹くという意をもつ「萌」の漢字が当てられたといわれ、ポジティブで暖かい、新たな命の息吹きを感じさせる語として、一般に定着されている。近年、「萌え」系でデザインされたキャラクター(少女系キャラが主流)が用いられた解説書や商品などが各種出回っている。用いられるキャラクターには、人物キャラクターだけでなく、解説の対象となる元素や機械類の擬人化がみられる。好感を持てるような可愛いキャラクター達が、商品の購買意欲を高めたり、専門用語などで分かりにくそうな事項を懇切丁寧ナビゲートすることで、若年層の人々が、世間一般の多岐にわたる物事に関心を持つきっかけとなっていくであろうと思われ、その点では大いに歓迎される事であろう。
私としては、個人的には、仏教や神道などに代表される伝統文化の分野においても、これらの萌え系キャラクターが活用される事をささやかながら期待していた。このブログでも、『萌禅』という禅宗関係の萌え系解説書というものを仮想した記事を発表している(『萌える○○』)。仏教などの、宗教を紹介するツールにマンガの形式を用いているものは見かけるが、萌え系を意識したキャラクターとの融合は実現できるのだろうかという点で、多少の不安を感じながらも、可能性がないことはないと考え、美少女&美青年キャラクターの登場する禅宗解説書をシュミレートしてみた。実現のためには、監修を担当する宗教者たちの十分な理解と、キャラクターデザインやイラスト・マンガの担当者各人の表現力などが大きな決め手になるであろうと考えられ、もし実現したら若年層が伝統宗教に関心を寄せる上での何かのきっかけになるのではと思うのである。また、解説書だけではなく、寺院や神社、地方の観光協会などによる、萌え系キャラクターの積極導入、あるいはそれらから発展する形で東大寺や春日大社、金閣寺などの神社仏閣そのものの「萌え」擬人化というアイデアも考慮に入れる必要があると考えていた。萌え系キャラたちが神社仏閣発のニューウェーブ(ヌーベルヴァーグ)となることを期待していたのだ。確かな根拠は確かめられないが、おそらく誰かがいつか、どこかで実行するのではないのかと予想を立てていた。栃木県日光市に日光二荒山神社中宮祠が、田心姫命(たごりひめのみこと)などの祭神をモチーフとしたキャラクター立ち上げ、市内のイラストレーターである苅田規恵氏がデザインを担当した。08年7月発行の絵本・『猿丸の弓のはなし 日光戦場ヶ原の伝説』に初登場の後、09年から神社の正式なマスコットキャラクターとなり、一部では「萌え系」キャラクターといわれていたが、従来の「ゆるキャラ」の流れを組んだデザインが用いられ、広い年齢層を対象としたものになっている。これらのキャラクターたちはデザインセンスにおいて、「萌え系」を定義付けられていると思われる、アニメ・マンガ調のデザインとは若干のズレが生じていた。だが、最近になって、本当に「萌え系」といえるようなキャラクターたちを導入した寺院が登場したというニュースが舞い込んできた。東京都八王子市にある日蓮宗の寺院である松栄山了法寺が、寺院内で祀られている仏像をモチーフとしたキャラクターを「萌え」系デザインで立ち上げ、案内看板に描いたというのである(携帯サイトにも同じ絵柄が掲載)。同寺の中里勝隆住職が案内看板を製作するにあたって、住職の姉の知人である、とろ美氏が若年層の参拝を意識してデザインしたという。看板は09年6月頃より登場し、若年層の拝観者が見られるようになったところを見ると、相当の効果が現われているといえるであろう。とろ美氏のデザイン感覚が最も効果を発揮している事は確かだが、中里住職の伝統宗教に対する真摯な姿勢およびそれを踏まえた上で、萌え系を好意的に受け入れる柔軟な対応意識がこの成功を支えているのであろうと考えられる。この了法寺での事例は、宗教者の理解とデザイナーの表現が、伝統宗教の萌え系導入における重要事項であることを改めて実感されるものであり、伝統宗教のニューウエーブとして、他の寺院への波及が推進されることを大いに期待するものである。
お寺にも“萌え看板” 了法寺「若い男性参拝者増えた」 『ITmedia News』2009年7月14日
“萌え看板”の了法寺、連日20~30人のファンがお参りに 同 2009年7月29日
これが本当の聖地巡礼! お寺はどうして「始まった」?
「大吉出たから始めた」萌えるお寺、了法寺ができたワケ 『ASCII.jp』 2009年7月17日
八王子市了法寺PC用ホームページ
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後記:
萌え系寺院出現しましたね、という感じです。萌え系キャラが伝統宗教にニューウェーブを呼び込むであろうと考えていたので、このニュースは非常に興味深いものでした。萌え系の仏教解説書登場の可能性が見えてきそうで、今後も大いに応援・期待していきたいところです。ところで、個人的には寺院の萌え系導入は、禅宗系または密教系あたりから出てきてくれればいいかな、と思っていました。一方、宣伝力からみて、浄土真宗などの念仏系あたりが最も有力なのではないかとも考えていたので、八王子市の日蓮宗寺院からの登場は意外に思いました。"日本の伝統文化"というイメージからみて、禅宗系からの登場の可能性は高いと感覚的に予想していましたので、この点は非常に興味深い所です。これを機会に、他の宗派もこれに負けないくらいの萌え系キャラクターを登場させて、伝統宗教の再認識と更なる発展に貢献していける事を願っています。
追記:
以前の記事で述べたような萌え系の禅宗解説書も実現の可能性が見えてきそうです。以前にも記事で述べた事ですが、禅宗は女性向けのイメージもみられそうですので、その点も考慮してみる必要があるかもしれませんが…。
2009.8.20 空・ドラ
●kongdra(空・ドラ)
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特定のモノに触れたときに心を動かされ、愛情を超えた”想い”を募らせ、その言葉には言い表せないような感覚を覚えるような精神状態を表す語として'90年代後半前後から使われ始めたという「萌え」は、主に美少女のキャラクターの容姿でシンボライズされる場合が多い。健康的で優しさの感じられる少女のイメージを連想させることから、草木が芽吹くという意をもつ「萌」の漢字が当てられたといわれ、ポジティブで暖かい、新たな命の息吹きを感じさせる語として、一般に定着されている。近年、「萌え」系でデザインされたキャラクター(少女系キャラが主流)が用いられた解説書や商品などが各種出回っている。用いられるキャラクターには、人物キャラクターだけでなく、解説の対象となる元素や機械類の擬人化がみられる。好感を持てるような可愛いキャラクター達が、商品の購買意欲を高めたり、専門用語などで分かりにくそうな事項を懇切丁寧ナビゲートすることで、若年層の人々が、世間一般の多岐にわたる物事に関心を持つきっかけとなっていくであろうと思われ、その点では大いに歓迎される事であろう。
私としては、個人的には、仏教や神道などに代表される伝統文化の分野においても、これらの萌え系キャラクターが活用される事をささやかながら期待していた。このブログでも、『萌禅』という禅宗関係の萌え系解説書というものを仮想した記事を発表している(『萌える○○』)。仏教などの、宗教を紹介するツールにマンガの形式を用いているものは見かけるが、萌え系を意識したキャラクターとの融合は実現できるのだろうかという点で、多少の不安を感じながらも、可能性がないことはないと考え、美少女&美青年キャラクターの登場する禅宗解説書をシュミレートしてみた。実現のためには、監修を担当する宗教者たちの十分な理解と、キャラクターデザインやイラスト・マンガの担当者各人の表現力などが大きな決め手になるであろうと考えられ、もし実現したら若年層が伝統宗教に関心を寄せる上での何かのきっかけになるのではと思うのである。また、解説書だけではなく、寺院や神社、地方の観光協会などによる、萌え系キャラクターの積極導入、あるいはそれらから発展する形で東大寺や春日大社、金閣寺などの神社仏閣そのものの「萌え」擬人化というアイデアも考慮に入れる必要があると考えていた。萌え系キャラたちが神社仏閣発のニューウェーブ(ヌーベルヴァーグ)となることを期待していたのだ。確かな根拠は確かめられないが、おそらく誰かがいつか、どこかで実行するのではないのかと予想を立てていた。栃木県日光市に日光二荒山神社中宮祠が、田心姫命(たごりひめのみこと)などの祭神をモチーフとしたキャラクター立ち上げ、市内のイラストレーターである苅田規恵氏がデザインを担当した。08年7月発行の絵本・『猿丸の弓のはなし 日光戦場ヶ原の伝説』に初登場の後、09年から神社の正式なマスコットキャラクターとなり、一部では「萌え系」キャラクターといわれていたが、従来の「ゆるキャラ」の流れを組んだデザインが用いられ、広い年齢層を対象としたものになっている。これらのキャラクターたちはデザインセンスにおいて、「萌え系」を定義付けられていると思われる、アニメ・マンガ調のデザインとは若干のズレが生じていた。だが、最近になって、本当に「萌え系」といえるようなキャラクターたちを導入した寺院が登場したというニュースが舞い込んできた。東京都八王子市にある日蓮宗の寺院である松栄山了法寺が、寺院内で祀られている仏像をモチーフとしたキャラクターを「萌え」系デザインで立ち上げ、案内看板に描いたというのである(携帯サイトにも同じ絵柄が掲載)。同寺の中里勝隆住職が案内看板を製作するにあたって、住職の姉の知人である、とろ美氏が若年層の参拝を意識してデザインしたという。看板は09年6月頃より登場し、若年層の拝観者が見られるようになったところを見ると、相当の効果が現われているといえるであろう。とろ美氏のデザイン感覚が最も効果を発揮している事は確かだが、中里住職の伝統宗教に対する真摯な姿勢およびそれを踏まえた上で、萌え系を好意的に受け入れる柔軟な対応意識がこの成功を支えているのであろうと考えられる。この了法寺での事例は、宗教者の理解とデザイナーの表現が、伝統宗教の萌え系導入における重要事項であることを改めて実感されるものであり、伝統宗教のニューウエーブとして、他の寺院への波及が推進されることを大いに期待するものである。
お寺にも“萌え看板” 了法寺「若い男性参拝者増えた」 『ITmedia News』2009年7月14日
“萌え看板”の了法寺、連日20~30人のファンがお参りに 同 2009年7月29日
これが本当の聖地巡礼! お寺はどうして「始まった」?
「大吉出たから始めた」萌えるお寺、了法寺ができたワケ 『ASCII.jp』 2009年7月17日
八王子市了法寺PC用ホームページ
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後記:
萌え系寺院出現しましたね、という感じです。萌え系キャラが伝統宗教にニューウェーブを呼び込むであろうと考えていたので、このニュースは非常に興味深いものでした。萌え系の仏教解説書登場の可能性が見えてきそうで、今後も大いに応援・期待していきたいところです。ところで、個人的には寺院の萌え系導入は、禅宗系または密教系あたりから出てきてくれればいいかな、と思っていました。一方、宣伝力からみて、浄土真宗などの念仏系あたりが最も有力なのではないかとも考えていたので、八王子市の日蓮宗寺院からの登場は意外に思いました。"日本の伝統文化"というイメージからみて、禅宗系からの登場の可能性は高いと感覚的に予想していましたので、この点は非常に興味深い所です。これを機会に、他の宗派もこれに負けないくらいの萌え系キャラクターを登場させて、伝統宗教の再認識と更なる発展に貢献していける事を願っています。
追記:
以前の記事で述べたような萌え系の禅宗解説書も実現の可能性が見えてきそうです。以前にも記事で述べた事ですが、禅宗は女性向けのイメージもみられそうですので、その点も考慮してみる必要があるかもしれませんが…。
2009.8.20 空・ドラ
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by konlon
| 2009-08-20 23:26