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by konlon

カテゴリ:音楽( 5 )

音楽史のはるか深層に眠る「迷曲」に光を照らす迷曲セレクション第2弾をここに紹介しよう。

 1 トンネル天国/ザ・ダイナマイツ
 2 おやじのロック/フィフィ/ザ・フリー
 3 どうしても女に勝てなかった悲しい男の話
   /ザ・ジャイアンツ
 4 涙のエンゼル/ザ・ジャイアンツ
 5 真夏の夜の動物園/ザ・ダイナマイツ
 6 まゆげ/東京プリン
 7 携帯哀歌(エレジー)/東京プリン
 8 時間がたつのが早すぎて~時代遅れの男~ /東京プリン
 9 バブルアゲイン/東京プリン
10 ばぶるばす/いはたじゅり
11 青のり/ブリーフ&トランクス
12 平成たいやき物語/ブリーフ&トランクス
13 激!!極虎一家なめんなよ/極虎一家
14 行け行け飛雄馬「劇場版」/おぼたけし・森みどり
15 グリーンマン・マーチ/仲とも吉・グリーンピース
16 スピード野郎/平尾昌章
17 ヨッパラッタお嬢さん/ピンキー・チックス
18 がきデカ恐怖のこまわり君~悶絶バージョン~/葡萄畑
19 好きさブラックデビル/オレたち昔・アイドル族
20 レスラー/竹中直人
21 嫁津波/山田実とトップ・ゴージャス
22 ビバ・ラーメン/グッチ裕三とグッチーズ
23 トンネル天国/グッチ裕三とグッチーズ

1:今回のオープニングは、カルトGSの古典的傑作といわれる、ザ・ダイナマイツが演奏する「トンネル天国」でいこう。
「トンネル天国」は、ザ・ダイナマイツのデビュー・シングルで、1967年11月10日にリリースされた。当コンピレーションに収録されているのは、1968年5月発表のアルバム『ヤングサウンド・R&Bはこれだ!』に収録のものである。アルバム・ヴァージョンは、ライブ演奏に近い(筆者は実際に聴いたのか?)シングル・ヴァージョンよりも、レコーディングを意識した演奏である。アルバム版最大の特徴は、曲の最後に「鉄道唱歌」を繋げていることである。発表当時はあまり知られていなかったが、80年代になってから再評価されるようになり、1987年にはザ・ファントムギフトが本曲をカヴァーした。そして、90年代に入って、CD「カルトGSコレクション・ビクター編」によって70年代以降生まれの世代にも紹介された。

2:カルトGS中の一ジャンルであるソフト・ロックの代表的バンドとして挙げられるのが、フィフィ・ザ・フリーである。68年に本曲「おやじのロック」でデビューした後、「栄光の朝」、「限りなくあたえるもの」といった名曲を発表している。この「おやじのロック」は、ソフト・ロックよりはブリティッシュ・サイケ風のサウンドであり、明らかにアングラブームの時流に乗せられた、企画盤の様相をみせている。『レコード・コレクターズ』1999年4月号の特集記事(高木龍太著)では、「本来の姿ではなかった」と記されているが、発表当時の事情を知らない、CD世代の人々にとっては、よくできたコミックソングとして、純粋に受けとめてくれるだろう。2000年代の少子化時代において、聴いてほしい曲、歌ってほしい曲のひとつに挙げられる。

3/4:1968年1月にコロムビアからザ・ダーツの「ケメ子の唄」が発表され、オリコン2位にランキングされた。ビクターはこれに対抗して、ザ・ジャイアンツのヴァージョンを1968年2月に発表した。しかし、ダーツに2週間遅れたためかオリコン6位であった。続いて、このシングル「どうしても女に勝てなかった悲しい男の唄(以下、悲しい男と略す)」をリリースしたが、ヒットには及ばなかった。
A面の「悲しい男」は、加藤和彦の作曲で、「帰ってきたヨッパライ」の流れを汲む正統派アングラを意識したつくりになっている。このシングルで一番のみどころは、「獅子座」と刻まれた墓石(何かの石碑に文字を合成した写真か?)の上で、少女と雌犬を遠ざけようとしているジャイアンツのメンバー達を写したジャケットであろう。歌中のキーワードを盛り込んだ、ジャケの傑作であるといえる。B面は「涙のエンゼル」(松井ひさし作詞・作曲)という歌謡曲であり、A面のようなギャグは入っていない。A面とB面のギャップの違いもこのシングルの魅力であり、90年代以降のシングルでは思いもつかない構成であろう。ちなみに「恋愛射撃隊」(65年9月)のザ・ジャイアンツとは同名の別バンドである。
B面の「ブルー、ブルーゥエンジェル」を聴いているとなぜか米海軍アクロバットチーム「BLUE ANGELS」のテカテカ藍色の飛行機を連想してしまうのは何故!?

5:1968年6月発表の、ザ・ダイナマイツ3枚目のシングルA面。本曲最大の聴きどころは、ベースの吉田博による“絶叫”である。あのブルース・リーの映画より以前に、“絶叫”こと“怪鳥音”を発する者が日本にいたとは実に驚嘆させられる。和製怪鳥音の魅力を存分に味わって欲しい。

6~9:6から9までは、東京プリンの傑作を紹介してみた。聴くときは、曲の流れに意識をまかせ、曲中の歌詞を頭に思い浮かべてみること。
余談になるが、漫画にみられるキャラクターデザイン界の流れでは、「太くて濃い」眉毛が見直されているようだ。

7:この曲がリリースされた後、携帯をめぐる情勢はだいぶ変わってきた。「ポケベル」「ピッチ」はもはや死語になっているし、カラー液晶の「iモード」や、「写メール」、そして本格的ゲームのお株を奪うような「iアプリ」といった携帯の技術革新は、文字通りの哀歌(エレジー)にしようとしている。

8:まさに歌詞の通り。ぼーっとしていたら21世紀になってしまった。なんとか追いつかねば。

9:バブル景気とは、ソ連崩壊直前に西側某国で起こっていた経済現象である。この事実を考えてみるとバブルを生み出した要因を知るヒントが見つかるかもしれない。東西冷戦の時代は、核戦争のもたらす破滅に誰もがおびえていた。ただ核戦争によって全てが無に帰すのが怖かったので、みんな冷戦構造の終結を望んでいた。人々は目先の恐怖ばかりしか考えていなかった。冷戦というものについて深く学ぼうとはしなかった。戦争と平和が経済に及ぼす関係が分かれば、バブルアゲインの方法が徐々に見えてくるのだろうか。

10:NHK「みんなのうた」に発表された曲の中では、近年(2000年代に入って)久々の秀作。14歳のいはた じゅり(井端珠里)が、素朴であどけなく歌っている。
井端珠里は、『ポケモン』テレビシリーズのエンディング「ポケットにファンタジー」で小林幸子(「風といっしょに」、ポケモン映画長編第一作主題歌)と歌い、ポケモン映画の第一弾短編『ピカチュウのなつやすみ』OP、EDにも参加している。『ポケモン』と結構縁の深い人物なのだ。
 それにしても「あわわ あわわ」のコーラスで始まるこの曲は、聴けば聴くほどバブル景気時代を復活させる言霊のように思えてならない。歌詞の中にはバブル時代を復活させるアナグラムが隠されているのかも?

11:半径5メートルの日常を歌にする、ブリトラの傑作。歌詞については説明するまでもなかろう。こんな歌詞に命を吹き込むメロディもまた味わい深い。

12:「およげ たいやきくん」に対するブリトラの回答である、たいやきの歴史に関する秘話を堂々と歌い上げ、我々にたいやきをめぐるドラマをリアル感たっぷりとアンコのように説明してくれる。だが、こうして高まったテンションも、最後の一言によって一挙に脱力させられる。10回聴いたら癖になってしまいそうでちょっと怖い。

13:宮下あきら『激!!極虎一家なめんなよ』のイメージソング。漫画作品の映像化(ドラマ、アニメのテレビシリーズ)はメディアミックスの基本だが、いまいち大衆向けでない、“コア”、“マニアック”な作品に関しては、オリジナル・ビデオアニメーションやVシネマが登場するまでは、イメージレコードを制作することが多かった。

14:1980年代初頭に、TVアニメ『巨人の星』がリバイバルした時、『巨人の星』の劇場用総集編に、原辰徳などが登場する新作カットが追加されて公開された。(1982)本曲はその際にディスコアレンジされたヴァージョン。ちなみにTV『巨人の星』では、本編にディスコのシーンがあり、そこではザ・ゴールデンカップスの歌が流れていた。

15:この曲、聴いてみると、軍艦マーチの節ではないか。ヒーロー本体も脱力ものだが、このテーマソングは思いっきり脱力させられる。(^^;)

16:山下敬二郎、ミッキー・カーチスと並ぶ「ロカビリー三人男」のひとり、平尾昌章の隠れた傑作。(1964年発表)レースにかけるスピードレーサーの生き様を歌っているのだが、何とそれが数え歌であるとは。(谷川俊太郎作詞)60年代以降では考えも付かない、ある意味「怖いものなし」といえる感覚は、映画『ドリブン』の映像表現を追い越して、最終的には脱力感というゴールへ達しようとしている。

17:「帰ってきたヨッパライ」の女性版を意識したシングル。(1968年3月)内容は、主人公が、スタンドバーで酒を飲みながら彼氏を待っている内に閉店になってしまう、というもの。曲中のお酒を注ぐエフェクト音に味わいがある。ジャケ真中の、戦隊ヒーローを髣髴とさせる色分けされた衣装を着けたメンバーも印象的。

18:葡萄畑のアルバム『スロー・モーション』収録。『がきデカ』のイメージソングで、シングル盤とは別ヴァージョン。早回しを用い、伴奏の受話器をとる部分で曲を切る構成は、思い切りがよい。

19:『オレたちひょうきん族』「タケちゃんマン」コーナーの人気キャラ、ブラックデビルのテーマソングとして、番組中で発表。発表時の映像は、今で言うプロモーションビデオのような感じで、明石屋さんま演じるブラックデビルの耳(頭のヒレ?)が光る電飾付きの専用コスチュームが使用された。

20:竹中直人が贈る、ジャイアント馬場とマイケル・ジャクソンに対するオマージュ。竹中の声の使い分けが面白い。

21:金子修介監督映画『山田村ワルツ』において、山田村の花嫁獲得イベント「おたふく祭り」の見せ場のひとつである、山田村が招待したバンド・「山田実とトップ・ゴージャス」が歌う歌。山田実とトップ・ゴージャスの正体は、あの米米クラブであった。近年はガメラシリーズやゴジラ映画の監督で知られる金子監督だが、80年代には、『恐怖のヤッちゃん』、『どっちにするの』といったコミカルな映画を監督していた。レンタルビデオ店には、これらの作品を金子修介コーナーに並べる勇気はあるのだろうか、少々疑問である。

22:邦楽・洋楽のカヴァーで、隠れたファンを持つNHK『ハッチポッチステーション』で歌われた、『ハッチポッチ』オリジナルの曲。ラーメン関係のコミックソングはを聴きたい者にとって、これは待望の一曲であった。ラーメンファンのテーマソングとして、これは後世に残る傑作となるであろう。

23:『ハッチポッチステーション』では、意外な曲をカヴァーしていることがある。意外さでは、「トンネル天国」が一番であろう。60年代のカルトGSがまさかこのような番組で90年代にめぐり会えるとは奇遇である。埋もれた迷曲の数々が、新世紀に再生されることを願い、新「トンネル天国」で今回の迷曲セレクションを締めくくる事にしよう。
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by konlon | 2007-05-16 13:51 | 音楽

愛した命を偲ぶ曲は

昨年の2005年1月16日、ファンタジーマンガ作家・須藤真澄先生と共に過ごした猫(キジトラ、トムキャット)の「ゆず」が甲状腺の疾病のために、永き眠りについた。そこにいることがいつものことだと分かっていても必ず訪れる、命あるものが迎える"別れの時"を経験した須藤先生はその経験を中篇マンガ「長い長いさんぽ」(前後編)として描き、月刊『コミックビーム』上で掲載された。本作は雑誌が発売されると、それを読んでそれに触れた人々に深い感動を与えることになった。そして、「ゆず」の"一周忌"にあたる2006年1月16日に(日曜を前日に控えていたためか、実際は数日早く店頭に並ぶことになったが)'00以降に各雑誌で発表された「ゆず」関連の体験マンガとともに単行本として発売された。発売からおよそ一週間の間に、多数の読者から"感動"と"涙"の感想がブログを始めとするインターネット上で述べられ、雑誌掲載以上に大きな反響を呼んでいる。"愛するもの"を通して伝えられる命の"重さ"や"繋がり"ということが、作品のコマに現れた絵の、一つ一つに込められており、触れた人々の心にかかってくる重圧さが実感されるような話であった。それは”名作”に逢えたと感じられるような作品といえるであろう。 そして今後もこの作品は多くの人々に忘れがたき感動を伝え続けるであろう。
ここでは、この『長い長いさんぽ』の作品イメージに通じるであろう音楽を私個人の主観にて紹介していきたい。

 1:TEAR'S LIBERATION
(OVER TEAR'S FOR THE NEW WAVE Re-SYNCSTYLE)/access

別れの静寂なイメージと前向きさがテンポよく演奏されており、リミックスによって冬の冷気を感じさせる曲想が加わって、"別れ"の情感が一層協調されている。

 2:Will this be the song i'llbe singing tomorrow? (明日の歌)
   /コリーン・キャンプ
 3:同曲/マイク・レメディオス(『ダンス・ウィズ・ドラゴン』より)

2はブルース・リーのメモリアル映画であった『死亡遊戯』('78年)の主題歌であり、英雄にささげる静かでありながらも奥に秘めた激しい"想い"が聴くものの心に染み渡る。3はブルース・リー主演映画の日本公開版(最初回)でのイメージソングを歌っていたマイク・レメディオスによるカバーである。多くの人々に強い印象と魅力を与えた猫のゆずは猫マンガ界において、ある意味英雄といえるかもしれない。この両者は知る者にはどこか通じる所があるのだろうか。

 4:美しい夜/ナタリー・ワイズ

曲全体を通して伝えられる夜空と星のイメージが清涼感にあふれ、思い出を抱いて明日に繋ぐ生命の素晴らしさを感じさせてくれる。

 5:夢の中で会えるでしょう
 6:Time and Again
 7:All over,Starting over~その笑顔のために~
 8:天国に続く道
  (アルバム『Sorrow and smile』より)

 9:確かな光
10:hibiki
11:美しい星
  (アルバム『確かな光』より)
  /高野 寛

高野寛が加わっているナタリー・ワイズとの関連もあり、ここに挙げてみた。11は4の高野寛ソロヴァージョンである。これらの曲は、愛するものへの、出会いと別れを通しての、「生」への"想い"が歌詞とメロディに写されたかのような印象を受ける。5~8が収録されたアルバム、『Sorrow and smile』は生命の素晴らしさが静かで素朴に歌われた曲が揃っている。一度は聴いてみてはどうだろうか。
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by konlon | 2006-01-31 00:38 | 音楽
記憶のはるか深層に眠る、埋もれた「迷曲」を照らす試みとして、「迷曲セレクション」のパーソナル・オムニバスの構想を立ててみた。何分”迷”曲というだけに流通の少ないCDからの選曲になっていることをご了承願いたい。どこかで聴く機会があったときに、こんな曲だったのかと思い出す参考にでもしてほしい。


 1 旧約聖書/アダムス
 2 昭和二世/ザ・イーグルス
 3 青春ゴーゴー/ザ・イーグルス (口上:松島みどり)
 4 たにしどの/大場いたる
 5 俺は花の演歌歌手(どさまわり)/鹿村浩司
 6 アメニモマケズ/サラ&メロディ
 7 蒸気機関車/金玉(こんぎょく)
 8 アトムの夢/高野寛
 9 NIPPONのサザエさん/嘉門達夫
10 ぽってーかすじじぃの唄/ティダカンパニー
11 子持ギャル/ティダカンパニー
12 パパはメキシコ人/神谷勝也、ドン・神谷
13 勇気のしるし~リゲインのテーマ/牛若丸三郎太
14 カローラⅡにのって/小沢健二
15 天国からのお迎え/スカイ・ホークス
16 ガオー!はキングコングの合い言葉/子門真人
17 ペチャパイ/ブリーフ&トランクス
18 ブルマン/ブリーフ&トランクス
19 ナチュラル~別バージョン/三倉茉奈、三倉佳奈、菊池麻衣子、岩崎ひろみ 
20 もしも世界にタヌキがいたら/ユミ
 


1:オープニングとして、カルトGSの中でも荘厳さにあふれた本曲を使用してみた。
2・3:イーグルスのデビュー・シングル(1968)。当時のアングラブームに便乗して、早回しを導入している。'60年代後半の世相が歌詞に織り込まれており、”あの当時”の空気が曲中に再現されている。
4:大場いたるは、1945年生まれで、1969年のデビュー以来、民謡歌手として活動を続けているという。俗謡を元にして、タニシの夢想漂う過酷な運命というべき内容の歌詞をざらついた、土着的なビートに乗せて歌い上げている。これが日本庶民のグルーヴというものなのか。
5:BC級演歌歌手の実態を歌っており、ドサ回り興行やインディーズレコード持ち込みといった華々しくない活動の数々、一発当ててディレクターを見返してやると意気込む主人公や肩身の狭い状態を嘆いて来年の紅白をねらってという娘の台詞に、痛切な歌手の本音が感じられるようである。本当に芸能界で成功する確率というのは恐ろしく低いのだろうか。スターの条件とはルックスか?歌唱力か?演技力か?あるいはロバート・クローズ監督版の『死亡遊戯』(ブルース・リーの登場しないパートで)の地下で暗躍する芸能シンジケートのような、(汗)何か見えざる手によるもの仕業なのか。
6:サラ&メロディは、アメリカ人の父と日本人の母をもつサハラ文子フィゲラとポルトガル系アメリカ人の父と日本人の母をもつスー・メロディのデュオ。ファンクで歌う宮沢賢治の名詞は、文学を超えた異様なまでの魅力を放っている。
7:金の玉、と書いて“こんぎょく”と読む。”××たま”ではない。このコンビ名にして曲名が「蒸気機関車」、男の中にある”何か”を刺激させてくれるぜ。
8:『虹の都へ』がヒットする以前のアルバムに収録された、確かな光を放つ実力派ギタリスト/ミュージシャンの社会派ソング。核問題を朗らかに唄い上げ、あの名ロボットが原子力で動いていたという設定を改めて聴く人の意識に戻す。背筋に何かを感じて…。
9:’90年代初頭の名著『磯野家の謎』のあおりを受けて生まれたであろう曲。『サザエさん』に関する話題をギャグ化しているが、その裏に込められた『サザエさん』へのリスペクトが感じられ、嫌味を残さない。あの名著をいち早く曲に取り入れた嘉門達夫の着眼点とセンスはさすがと言いたくなるような逸品といえよう。曲中には名著『磯野家の謎』のデータがアニメ版のデータに混じって使用されている。
10:沖縄のローカル番組『じゃか2ALIVE』(2は二乗の意味)の中で、その制作過程が紹介されたという。しかし地元のそうした事情は知らなくても、沖縄生まれのコミカルソングとして充分楽しめる。
「ぽってかすー」:直訳は難しいが、沖縄方言で「頭が弱い、知恵が足りない、非常識な奴、」をさすが、同じ”fool”の意で使われる「ふりむん」が「馬鹿たれ」のニュアンスを持つのに対して、「ぽってかすー」は「おばか」程度の意味合いである。なお、歌詞中に出てくる「カジマヤー」は沖縄地域における、97歳の長寿祝いのことである。さすが長寿の島。
11:沖縄民謡風サウンドに、育児エッセイマンガのような内容の歌詞を組み合わせた本曲は、聴く者の心を日常の狭間から出現する不思議空間へ誘い込む。ちなみに本曲でただ今一児の母と歌った、ボーカル担当のYukkoは現在三児の母になってしまった。
12:短足肥満で陽気、ギターを抱えて歌い踊る我が家のパパをメキシコ人に例えて、ラテン風音楽に乗せて紹介。子供の純朴な観察眼がメキシコへの憧れを駆り立て、ソンブレロの先に見える空に、はるか彼方の異国を想う。  
13:50万枚のセールスを記録したドリンク剤のCMソングであり、CMに出演した時任三郎が「牛若丸三郎太」の名で歌っている。発表からすでに10年以上経過したが、この10年で世の中は激変し、人々は戦意高揚的なものより癒し系の楽曲をCMソングに求めるようになった。そういう意味で、この曲は発表された当時の”時代”を保存しているといえよう。
この当時24時間、はるか世界で”戦える”存在といえば、ジャパニース・ビジネスマンとアメ   リカ合衆国陸・海・空・海兵隊4軍ぐらいだったのかもしれない。
ちなみに”牛若丸”三郎太こと時任三郎は、その後1993年のNHK大河ドラマ『炎立つ』にて、弁慶の役を演じ、またコミックソング的イメージを持った「マツケンサンバⅡ」が近年大ヒットした松平健が2005年大河ドラマの『義経』で弁慶役を演じたことは、今思うと時代の皮肉と奇妙な運命を感じさせる。
14:佐藤雅彦・内野真澄作詞、内野真澄作曲といえば、1999年の春期ヒット曲『だんご3兄弟』を連想させる。本曲が発表された当時、一串三個の団子を食べながらカローラⅡに乗っていてもそこまでは予測できなかったであろう。
15:『帰って来たヨッパライ』のアンサー・ソング。間奏のせりふは高橋元太郎。脱力モノの最低アイテムとか、生殺しC調ソング(死語?)とかいう声も聞かれる。バンド名の「スカイ・ホークス」になぜ「スカイ」が付くのかは謎。スカイホークといえば、映画『トップガン』で教官の飛行機として登場した、軽ジェット攻撃機の傑作、ダグラスA-4スカイホーク艦上攻撃機が連想されるが。
16:1976年のリメイク版キングコングの公開にあわせて『おはよう!こどもショー』枠内で発表
された。キングコングの日本旅行をイメージさせる歌詞で、子門真人の歌唱もノリに乗ってタイアップにとどまらない大胆不敵さを放っている。手狭な太平洋のプールから東京タワーのすべり台、相撲取り顔負けのしこを踏み、富士山を枕に高いびきと豪快な日本旅行を満喫するするコングの姿にただ圧倒。でっかい事はやっぱりいいのだ。恥ずかしがらずにみんなで歌おう!?
16・17:ブリーフ&トランクスは、伊藤多賀之(Vo、G)、細根 誠(Vo)のデュオ。1993年結成。半径5メートルの日常を歌う独自のスタイルで音楽界に新風を巻き込む。あまりにもストレートな歌詞は、恥ずかしさに満ちた遠き過去の記憶を脳神経の書庫から呼び覚まし、人々の意識を過去から喜劇の世界へと運び去る。
19:NOKKOが歌うNHKテレビ小説の傑作『ふたりっ子』の主題歌を、主演のヒロイン達がカバーした芸能史に残る名(迷)曲。三倉姉妹による間奏のセリフは、ドラマ序盤のエピソード・”姉妹入れ替り”場面の時のものだ。これはまさに貴重な一曲といえるであろう。
20:秘蔵迷曲セレクションのラストは、TV番組『なるほど!ザ・ワールド』純正のエンディングテーマで締め括ってみた。無邪気に歌われるあまりにもワンパターンな内容のお国柄(日本人の大衆的な観念で見た所の)は、ある種の笑いを越えた何かを感じさせる。また”赤い”タヌキ(緑ではない)のソビエトなど今となっては時代を実感させる歌詞が歴史的重み(?)を醸し出す。
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by konlon | 2005-10-11 15:34 | 音楽
私はストーリーもの作品をみた後、それらの各作品を私的な感覚としてのお気に入り/ブックマークに指定した場合、その作品のオープニングやエンディングのテーマ曲、またはイメージソングとして、これまでに聴いた色々な曲から、作品の雰囲気やストーリーに合いそうだと思ったものを流用して、自分なりの作品イメージを構成するための素材にしている。(多分、多くの人がやっているだろうが…)私の場合、まず私の感じた各作品の雰囲気というものを、音楽で連想できるような曲をピックアップして、そのあと、それらの歌詞をチェックして、作品のストーリー内容に合った曲を絞り込んでいくようにしている。そのためにはできるだけ各種の音楽を聴く機会を作り、面白そうな曲に出会えるようにしているが、なぜか、というのかやはり、というのか自分の好きなアーティストの曲に集中してしまう傾向が強くなっていくように思える。その点は個人的な好みなので、ご了承いただきたいと言うしかない。
 私自身の例を挙げれば、高野寛の「I.O.N」(アルバム『CUE』収録)は荒木飛呂比彦作のマンガである、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの、1~3部のオープニング、「虹の都へ」(同上収録)はエンディング・テーマとしてそれぞれイメージ設定している。これらの曲は、人間と生命の力を信じる正義の心をもって、人類を脅かす存在と戦うジョースター一族と彼らを支持する仲間たちの展開する、人間賛歌や生命賛歌を象徴するかのような曲として感じ取られた。この事以降、私は高野寛のポップスとその系譜となるアーティストへの追求へと、音楽に関する私の関心が広まっていった。創作作品に対する、ファンのイメージとしての、既存曲の流用による音楽設定は、本人以外の者にとって押し付けがましい点もみられるが、創作作品に対する、ファン各自の”想い”というものを既存曲に託した主張であり、触れたものにとっては、良くも悪くも未知の分野に対する各自の関心を広げさせてくれる機会を提供できる機会ではないかと考えられる。発表の機会があれば、どんどん発表してみてはいかがであろうか。
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by konlon | 2005-09-05 00:20 | 音楽

「ゼロ戦」の記憶


 '60年代半ばに活動していたグループサウンズのひとつ、「ザ・フィンガーズ」の曲に「ゼロ戦」というものがある。現在出回っている、当曲を収録したCDの解説などを参照すると、タイトルの「ゼロ戦」とは言うまでもなく、かのアジア太平洋戦争を戦った、旧日本海軍の戦闘機「三菱零式艦上戦闘機」こと「零戦」であるといっていいだろう。零戦のイメージソングとして、日本を象徴する航空機・零戦の栄光と悲哀がエレキの演奏に込められたインストゥルメンタル(ボーカル無し)曲になっている。60年代当時において、大空を舞う航空機のイメージを、ロックという形で表現したという点で、後にみられるような、飛行機とロックとの組み合わせを先取りしていたような印象を受け、ロックによるエアロ・ダンシングイメージ表現の先駆を今に伝える秀作であろう。作曲はフィンガーズの主要メンバーであった高橋信之氏であり、あの高橋ユキヒロ氏の兄上に当たる人物であることも興味深い。
 零戦は優秀な性能をもってアジア太平洋戦争に登場し、日本の工業力の限界により衰退していったことにより、時の人々に鮮烈な印象を与えた。その鮮烈さによって、戦後の、高度経済成長を迎えるもまだ前大戦の空気がいくらか鮮明に残っていた'50~'60年代において、零戦は映画や少年向け雑誌の記事、プラスチックモデル等のメディアやグッズ類を通して、日本が体験した総力戦としての、世界大戦の記憶を伝えていった。国民生活が安定から向上へと向かい、昭和元禄と呼ばれるようになった、そして'60年代後半においても、「ゼロ戦」の言葉は、薄らぎつつゆく戦争の記憶を鮮烈に思い出させるキーワードであったといえるだろう。今思えば、「ゼロ戦」の、哀愁を秘めたそのメロディは、前大戦の日本を象徴する"零戦"を鍵として呼び起こされる、戦争の記憶というものを通して、高度経済成長時代の中での、日本の行方というものを自他共に問いかけていたのではないのだろうか。

ゼロ戦/ザ・フィンガーズ:CD 『カルトGSコンプリート・シングルズ』収録 
                2000年、テイチク

                CD 『TOKYOエレキ合戦』収録 2005年、テイチク
                              (*現在入手しやすいものです)

追記:
上記とは別の、今はもう発売されていないカルトGSのオムニバスで始めて聴いて、不思議な印象を抱いた覚えがあります。聴いただけで飛行機の離陸、飛行、空中戦をイメージできる曲であり、ロックを意識した演奏でありながら、どこか日本を感じさせる所は、なぜか「零戦」のイメージを容易に連想させます。
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by konlon | 2005-08-11 16:08 | 音楽