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by konlon

『萌える○○』--ある種の可能性--

 最近、英単語を始め戦史や警察、果ては健康や政治など、「萌え」といわれる、可愛らしいキャラクターを用いて解説した書籍が多数出回ってきている。読者が好感を持てるキャラクター達が、一見理解しにくそうな事項をナビゲートしてくれるというわけだ。このようなナビゲートで若年層の人々が、世の中の多く物事に関心を持ってくれれば良いのは疑う余地の無い事である。
 近年の青少年層の人々は宗教に関心が薄いといわれている。彼らの不道徳な言動や社会に対する無関心、無気力などの傾向は、古くから伝えられてきた伝統的な宗教思想に対する関心が薄くなってきたからではないかと考えてしまうほどである。日常生活の中で守るべき基本事項や礼儀・作法といった生活・習慣の根幹は、各人の生活している場所で古来から信仰されている宗教、つまり伝統宗教が大いに関わっている。宗教に対する関心や知識、体験によって人々の道徳が形作られているのだと思う。都市化などの、戦後の日本に起こった社会変容によって、宗教への関心が薄れてきているように感じられる。また、戦後から唱えられた「信仰の自由」という概念は、公立学校での宗教教育を不可能にしてしまった。家庭でも学校でも宗教に接する機会が大幅に減少しているのが昨今の事情であろう。青少年層の関心を伝統宗教に引き寄せる試みが一部の寺院や神社で試みられているようであるが、ここで最近クローズアップされている「萌え」を応用してみるのも一手であるかもしれない。可愛い少女や美青年のキャラクターを取り入れて、「萌えの仏教」とか「萌えで学ぶ伝統信仰」などの解説書が現れてもいいのではないかと淡い期待を交えて考えている。青少年層の読者がこれらの書籍を通じて伝統宗教に関心を抱き、各自の生活を見直していくための機会を得られれば、今の社会も少しは向上・発展できるのではないのかなと最近の「萌え」系解説書の出版事情を見て思うのである。
 美少女キャラクターによる、伝統宗教の解説は斬新な試みである反面、保守派の相当な抵抗も考えられるであろう。「萌え」と宗教とのコラボレーションを実現させるためには、キャラクターをデザインするクリエイターのセンスや表現技量に加えて、若い宗教関係者達の「萌え」系に対する充分な理解も必要になってくるだろう。彼らの努力が実現の可能性を高めてくれるであろうと思いながら今後の動向に大いに期待する次第である。

追記:
 「萌える禅」のような企画では、美青年の僧侶キャラクターが似合いそうな感じがする。これは個人的な見解であるが、宗教思想の種類や仏教の宗派によっては、男性向けあるいは女性向けのキャラクターを使い分ける方針で企画するのもアリなのではないのかとも思っている。例えば浄土宗や浄土真宗といった念仏系では男性向け、禅宗では女性向けのキャラクターをメインに使う方針を考慮する必要があるのかもしれない。
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by konlon | 2008-04-07 12:35