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by konlon

仏教に萌えられるか!?

先ほど、杜康潤(とこう じゅん)著のエッセイマンガ・『坊主DAYS』が発刊された。作者の兄が臨済宗(禅宗)の住職という事で、兄をめぐる仏教・僧侶絡みの出来事を綴った作品であるという。このブログでも寺院関係について、「萌え系」の看板寺院禅宗解説書提案の記事を発表して、日本仏教や僧侶に対するポジティブな認識がなされることを強く希望しているが、今回仏教(禅宗)関係についての、学習漫画的なものではないマンガ本の刊行は、日本仏教に対する再認識の機会を提供するものとして、大いに歓迎したい。日本国内における、プロフェッショナルを極めた世界の中で、自衛隊と並んで「ダサくて閉鎖的」といわれ、あるいは、古くから批判の対象となった「異世界の人」という認識が強かった日本仏教の僧侶について、日常に近い存在として、この作品が考え直す機会となることを密かに願っている次第である。作者の身内が禅宗系であるため、作品内容に禅宗系の紹介的要素も含んでしまったが、この事は、マンガファンたちに対する、禅宗への関心を高める契機としてのコンテンツ登場として歓迎すべき事であると同時に、日本仏教イコール禅の紋切り型イメージの強化という危惧も含まれているのではないかと思われる。日本仏教には多くの宗派が存在し、どれもが日本人の精神性に大きく関わっている事を考えると、少々疑問に感じる点もある。日本仏教や宗教家を題材とした作品を創るに当たって、密教系や念仏系、日蓮宗など日本仏教の他宗派に対する関心も向けられるべきであろう。(萌え看板の了法寺は日蓮宗寺院であるが、なぜ禅宗系寺院から萌えキャラ採用が始まらなかったのか、『坊主DAYS』がなぜ女性向けコミックスの新書館から刊行されたのか、これらの点も熟考すべきかもしれない)だが、国防や国際支援と同様に、日本人の宗教観を通じた精神性について、アニメ・マンガを生活の一部としている若年層の人々が、それを客観的に顧みるきっかけがわずかながらを登場したということで、この作品は重要なものとして位置付けられるのではないかと考えられるのである。
日本の伝統宗教が若年層へ継承・発展していくため、「萌え」と「煩悩」とは別のものであるというようなロジックを禅宗、いや日本仏教側から主張できるか、ということが今後の課題として重要になるのではないかと推測される。若い僧侶たちが美少女キャラについて語り合い、キャラグッズを集め、あるいは萌え絵師として活動し、痛車を乗り回す、ということが自然に受け入れられる社会の実現というものも、日本的宗教の今後の発展につながるのではないかと密かに考える次第である。
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by konlon | 2010-02-05 02:08 | マンガ